会場も観客席もない国際少年大会で、エントリーは開幕前日に締め切られます。これまでの6回、各国の子どもたちがオンラインの対局室で五目並べを打ってきました。第6回の終了後、主催者は短いアンケートを公開し、大会を続けるべきか問いかけました。
6回を1人で運営:世界レーティング6位の主催者
大会名は国際小学生五目並べオンラインオリンピアードで、英語名は International schoolchildren gomoku olympiade です。在学中の小学生を対象に、オンラインで開催されます。2026年8月22日時点で、Ants Soosõrvは6回を主催してきました。
Ants Soosõrvはエストニアのタリン出身で、長年にわたりエストニアやRIF(国際連珠連盟)のオンライン大会を運営しています。自身も高い競技レベルを保っており、2026年10月のrenju.netの世界レーティング一覧では、2818点で6位につけています。
この組み合わせから、問いの具体性が見えてきます。主催者は対局を知り、オンライン大会をどう運営するかも熟知しています。大会には固定の会場がなく、エントリーや組み合わせ、対局の進行はオンラインのプラットフォームと運営作業に支えられています。毎回続けられるかどうかは、最終的には誰かがこうした細部を担い続けるかにかかっています。
なぜオンラインで、なぜ連珠ではなく五目並べなのか:参加のハードルと初心者
2025年12月8日の告知によると、新シーズンの初戦は12月13日(土)に予定されていました。エントリーの締め切りは大会前日です。学生もコーチも同じ都市まで移動する必要がなく、週末にそのままオンライン対局室へ入れる日程です。
アンケートで主催者は、大会を連珠に変更するつもりはないと明言しています。理由は、新しいプレーヤーを呼び込むことも大会の目標の一つであり、五目並べのほうが始めやすいからです。4つの質問のうち、自ら先に答えたのはこの点だけで、残る質問にはコーチや棋手からの返答を待っています。
参加対象は在学中の小学生です。オンライン形式で省けるのは、交通費だけではありません。棋手がまず向き合うのは、石を置くこと、手番、対戦相手であり、事前に一通り身につける必要のある連珠の体系ではありません。ひとまず対局を最後まで進められることが、知識体系を学びきるよりも良い出発点になるのかもしれません。これは、大会を五目並べで続けるという主催者の理由とも一致します。
参加のハードルを下げ、まず新しいプレーヤーに盤の前に座ってもらう。それが、この大会が五目並べを選ぶ理由です。
8月のアンケート:主催者が公開で「続けるべきか」と問いかける
2026年8月22日、主催者は短いアンケートを公開し、コーチに回答を呼びかけるとともに、保護者や棋手の参加も歓迎しました。質問は4つです。大会を続けるべきか、続けるなら方式をどう変えるか、自国やクラブで大会を広めて参加者を増やす意思があるか、連珠に変更したほうがよいか、という内容です。
アンケートの直接の背景には、近年、参加国と参加者数がやや減少していることがあります。この数字の変化を大げさな結論に結びつけてはいません。ただ、次回をどうするかは話し合う必要が出てきました。現在の方法を続けるのか、先に大会方式や広報を見直して、申し込みが回復するかを確かめるのかが問われています。
参加者に問いを委ねることで、大会の課題も具体的になります。アンケートではルールだけでなく普及についても尋ね、続けるかどうかだけでなく、自国やクラブで運営の一部を担う人がいるかも聞いています。大会の未来は、「もっと良くする」という漠然とした言葉ではなく、答えられるいくつかの問いに委ねられています。
上級者が初心者に定型布石を使う問題
主催者が明確に好ましくないと述べたのは、上級者が定型布石を使って初心者と対局することです。ここでいう定型布石は、英語の schemes にあたる暗記した序盤の手順です。棋手は決まった変化を熟知し、序盤の着手で対局を準備済みの展開へ導きます。
棋理を知る人にとって、定型の布石は練習の成果です。一方、試合に出たばかりの学生は、自分なりの判断を身につける前に対局の流れが傾いてしまうことがあります。学生に必要なのは盤上で考える余地ですが、定型布石はその余地を先回りして奪ってしまいます。
初心者向けの大会では、盤上の勝敗だけでなく、初心者が負けた理由を理解する機会を得られるかも大切です。
タリンで行われていること:オンライン対局室の外にもある活動
タリンのオンライン棋界には、この大会以外の活動もあります。vint.eeはエストニアのオンライン棋類プラットフォームです。世界チャンピオンの中山智晴(Tomoharu Nakayama、日本)は、毎週土曜日に連珠の早碁シリーズを開催しています。参加は公開されており、どの国の棋手でもオンラインで対局できます。
同じプラットフォームでは、賞品のある公式五目並べシリーズも開催されていますが、参加できるのは認証済みの棋手に限られます。2つのシリーズを並べて見ると、オンライン対局室は誰でも参加できる練習対局にも、参加資格のある公式大会にも使われています。参加のハードルは、企画の目的によって変わります。
タリンにゆかりのある、もう一つの記念大会もあります。エストニアの棋手で、RenjuNewsの創設者、RIF副会長だったTunnet Taimlaは2023年に亡くなりました。それ以来、毎年オンラインでTunnet Memorialが開催されています。大会、練習対局、記念大会はそれぞれ異なる役割を担いますが、誰かが次の開催日をカレンダーに書き込むことで続いている点は共通しています。
次の開催予定はすでに日程表に
2026/27シーズンの日程はRIFのスケジュールに掲載されています。試行大会は2026年11月14日にタリンで、初戦は12月5日に予定されています。RIFのスケジュールでは、採用ルールはGomoku - Swap 2と登録されています。
これらの日程は、アンケートへの答えではありません。次のシーズンに向けて大会の枠が確保されていることを示すだけです。参加国や参加者数、方式を変更するか、普及に協力するコーチやクラブがあるかは、今後の申し込みや意見によって明らかになります。
大会が続くのは、毎年誰かが「学生はまだ参加したいと思っているか」「ルールは今も合っているか」「上級者は初心者に考える余地を残しているか」と問い直すからです。11月14日の試行大会と12月5日の初戦が実際に始まれば、まずは参加人数や対局、参加者がどれだけ続けて参加するかに答えが表れるでしょう。
6回を終えた今、残す価値があるのは、今回の問いかけそのものかもしれません。続けるなら、次の開催へつなぐ人がいるということです。見直すなら、学生が実際に向き合う対局に、より合った方式にできます。オンライン少年大会の次の一歩は、丁寧に記入されたアンケートと、定型布石に頼らず勝負する一局から始められます。