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美しさ、それ自体が理由
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棋理・エンジン

エンジン推奨の一手をまねると、なぜかえって悪くなるのか

強いエンジンの最善手は、静かすぎて理由が見えないことがあります。その一手は勝つために計算された答えであり、人に分かりやすく教えるための答えではありません。

盤上に示された着点は、エンジンが計算した答えです。それだけでは理由まで分かりません。
盤上に示された着点は、エンジンが計算した答えです。それだけでは理由まで分かりません。

対局を振り返るとき、エンジンが示した最善の一手を記録します。次の対局で似た形になり、その通りに打ってみると、相手の応手が復盤で見たものと違い、かえって迷ってしまいます。問題はその一手自体にあるとは限りません。着点は覚えていても、その後のどんな展開を前提としているか、まだ見えていないのです。

大会での強さと、一手ごとの正解は別です

第27回Gomocupは2026年6月5〜7日に開催されました。自由ルール部門では、RAPFI25がElo 2495、総得点349:11で1位、KATAGOMO26がElo 2290、324:36で2位でした。両者の直接対決は19:5です。こうした成績を見ると、1位のプログラムが示す着点を、どれも信じたくなるかもしれません。

一方、標準ルール部門ではRAPFI25のEloは2121、KATAGOMO26は2112で、直接対決は7:7でした。同じ2つのプログラムでも、ルールが違えば対戦結果に表れる差は変わります。ルールが変われば、復盤で確かめるべき局面の条件も変わります。プログラムの名前だけで、一手の確かさは判断できません。

大会のEloが表すのは、一連の対局を通じたプログラム全体の強さであり、個々の着手の点数ではありません。復盤画面の局面評価は、そのエンジンの評価と探索によるものです。適用ルール、探索深度、探索中に想定した相手の応手によって、その意味は限定されます。「この手は別の手より少し評価が高い」を「自分が打っても、その後に対応しやすい」と受け取る前に、もう一段階の確認が必要です。

推奨手は探索のための答えで、解説ではありません

たとえば、エンジンが四追いよりも静かな着点を上位に置いたとします。四追いでは相手に都合のよい交換を許す一方、静かな一手なら次の手番の選択肢を残せる、と計算しているのかもしれません。画面に表示されるのは通常、順位や評価値、勝率です。変化図を開かなければ、どの筋を守るべきかまでは数字から分かりません。

推奨通りに打っても、相手が復盤で確認しなかった別の変化を選べば、次の手番で改めて判断する必要があります。エンジンは設定された条件の下で元の推奨手をなお高く評価するかもしれませんが、その結論は別の変化で必要になる計算まで代わってはくれません。まず、どんな応手を想定しているのかを確かめ、その一手を次の対局に持ち込むか決めましょう。

CHI PLAY 2022の『(A)I Will Teach You to Play Gomoku』は、対局できるAIと、人が棋力を伸ばす助けになるAIとの隔たりを論じています。CHI PLAY 2025の『(A)I Can Play Gomoku』はさらに、ヒントやフィードバック、復盤の支援を提供する学習システムを研究し、その効果を検証しています。対局AIが手を示すだけでは足りず、学習を支える仕組みには、理解や練習、振り返りを助ける役割も必要だと分かります。

強い手にも、すぐ使える定石があるとは限りません

Cal Polyの『Mastering the Game of Gomoku Without Human Knowledge』は、人間の知識に頼らず、自己対局で学習したプレーヤーを示しています。有効な手は見つけられても、それだけで人が暗記できる棋理の一覧が生まれるわけではありません。復盤で座標だけを書き写しても、得られるのは一度の探索結果であって、判断を生み出す方法ではありません。

Rapfiの論文は、強さを高める別の道筋を示しています。GPUを使えない限られた計算資源の下で、蒸留したニューラルネットワークと、調整を重ねた評価・探索を組み合わせ、当時最強のオープンソースAlphaZero系エンジンであるKatagomoを上回りました。この成果は、強い手が緻密な計算の組み立てから生まれ得ることを示しています。その手を自分のものにするには、やはり具体的な変化に戻して確かめる必要があります。

石の間隔が広い組と、密に並んだ組を対比しています。
石の疎密は観察の手がかりにすぎません。復盤では、選べる応手の点と、対応が必要な脅威の筋を区別しましょう。

推奨手を、答えられる問いに変えましょう

1位のプログラムを先生とみなすより、エンジンを変化を調べる辞書として使うほうが実用的です。候補手の一覧を開いたら、まず2位から5位までを見てください。それぞれ何を守り、何を手放していますか。そのうちの一手の狙いを盤上の2本の筋で説明できれば、1位の手と比べる足がかりになります。

次に探索深度を変え、同じ局面をもう一度解析します。両方で上位に残った着点を取り出し、それぞれに対する相手の最も有力な応手を確認しましょう。順位が大きく変わった着点には、要確認の印を付けます。深度を変えても必勝手の証明にはなりませんが、短い探索で生じたわずかな評価差を結論と取り違えずに済みます。

変化図を見るときは、「評価値はいくつか」ではなく、盤上について問いかけてみてください。この手を打つと、相手はどの筋に対応しなければなりませんか。同じ筋に、相手はいくつの点から対応できますか。そう考えると、脅威そのものと、それを防ぐ着点を区別せざるを得ません。見落とした応手にも気づきやすくなります。

やり方:同じ局面で、まず2位から5位までの候補手を記録し、探索深度を変えて再解析します。両方で上位に入った着点だけを変化図で確認してください。各手について相手の最も有力な応手を書き、その応手がどの筋に対応しているかも記します。

脅威の数と、応手の点の数を分けて数えましょう

自由ルールで禁手のない座標例を見てみましょう。黒石がH8、I8、J8と、K7、K9、K10にあります。ここで黒がK8に打つと、横のH8〜K8と縦のK7〜K10がともに活四になります。黒に禁手を設ける連珠ルールなら、この手は四四の禁手となるため、同じようには打てません。

この自由ルールの例で白が直面するのは、横と縦、独立した2つの脅威です。G8とL8は横の筋の両端にある応手の候補点、K6とK11は縦の筋の両端にある候補点です。座標が4つあっても、脅威が4つあるわけではありません。一方の端を塞いでももう一方は塞げず、別の筋にも対応できません。このように数えて初めて、その一手が相手にいくつの問題への対処を迫るか分かります。

自分の復盤に戻ったら、まずルールを確認し、脅威となる筋とそれぞれの応手の点を記しましょう。簡単に解消できる脅威を1つ作るだけの手なら、画面上の評価が少し高くても、座標を覚えるのはまだ早いでしょう。相手が応じた後、自分にどんな手が残るかまで見てください。

一度の復盤で、判断を1つ持ち帰りましょう

復盤の終わりに、エンジンが許容範囲と評価する候補手から2手を選んで比べ、「どちらが相手の有効な応手を減らせるか」と考えてみましょう。前提となるのは、どちらの手も変化を確認していることです。応手の点が少ないだけで、良い手とは限りません。理由を説明できなければ、相手の応手を1つ盤上に置き、違いが表れるところまで進めてみてください。

次の対局では、その判断を1つだけ練習します。似た形に出会ったら、まず独立した脅威を見分け、次に相手の有効な応手を確かめましょう。対局後には、自分がどこを見落としたか振り返ります。推奨された座標をいくつも覚えるより、判断を1つずつ理解するほうが、実戦で使いやすくなります。

一度に比べるのは、許容できる候補手の後続の応手だけです

読み終えたら、WUZIQI で一局どうぞ。